Kyoto Nature Hiking -京都の自然、ハイキング情報-

京都の自然やハイキング情報について、京都市在住の森林インストラクターが書くブログです。3児の父。親子で山も歩いています。年に何度か日本アルプスも。

比叡山〜大原(横高山〜水井山経由)

9/24(金)比叡山から北部に伸びる尾根道を通って
大原へ抜けるコースを歩いてきました。
京都と滋賀の県境を縦走です。


翌日に宝ヶ池から撮った比叡山

右が比叡山(848m)。左端にポコポコッとピラミッド状の
山が盛り上がっているのが、右から横高山(767m)、
水井山(794m)です。
比叡山からこの2つの山を縦走し、仰木峠から
大原に下りるルートです。


今回は京都からの表参道といいますか、
メインルートの雲母坂(きららざか)から
上がります。
以前、この道を下りた時は、傾斜が急で
ひざに負担がかかるなと思っていたのですが、
やはり急坂は下るより登るに限ります。


道の両サイドがまた急斜面なので、景色もほとんど
見えず、黙々と歩くにはちょうどよいです。
よそ見をせずに下を向いて黙々と歩いていたおかげか、
いくつかキノコが目に付きました。
アイタケです。

藍色をしているので、覚えやすいキノコです。
食べられるようですが、おいしそうには見えませんねぇ。

こちらはアカヤマドリの幼菌でしょうか。
成菌になればおいしいようです。
どなたがゲットするのでしょうか。


少し急いで、20分ほどで平坦な道に出ました。
急坂はもう終わりです。
そしてさらに10分ほどで水飲対陣跡に着きます。
ここは瓜生山方面から来る道、赤山禅院から来る道との
合流点でもあります。


ここから少し登れば景色が楽しめます。

たった30〜40分登るだけで、こんなに高度を
稼げます。標高約500m。登山口が約150mですから、
約350m登ったことになります。


さらに150mほど登り、標高約650mにある
展望台からの景色です。ケーブル駅の少し南です。

写真にはうまく写りませんでしたが、
ここからはナラ枯れのひどい状況がよく
分かります。ほんまに紅葉しているようです。
来年の拡大はどうにか防いでほしいものです。


ナラ枯れより以前から被害が続いていて、
既に忘れ去られているのではないかと思われるのが
マツ枯れです。
先ほどの展望台の少し手前に「エビフライ」が
落ちていました。

松ぼっくりの中にある種をリスが食べるために
食い散らかした痕です。食痕といいます。
この「エビフライ」を見ると、あぁリスがいるんやと
うれしくなりますが、未だに被害が続いているマツ枯れに
彼らの食い物はちゃんとあるのかと心配になります。
マツの種だけを食べてるわけではないので、大丈夫だとは
思いますが。


コースに戻ります。
ケーブル駅の手前で旧道と新道に別れるのですが、
今回も新道を行き、展望台に寄り道はするのですが
そのままケーブル駅方面へは行かずに少し戻り、
さらに階段を上がっていきます。
この道を進めばスキー場跡に突き当たり、
そのままゲレンデを横切れば山頂へ寄らずに
横高山へ向かう最短路となります。
スキー場跡。

比叡山山頂(大比叡)は前回行き、ここに寄ると遠回りに
なるので、今回はパスします。その時のブログはこちら


少し見にくいかもしれませんが、これから歩く先の横高山です。
中央の少し左に盛り上がっている山です。
右側には琵琶湖も見えます。

スキー場跡を横切って、少し歩いたところで
展望が開けます。
一番景色のよい所にはベンチらしきものがあり、
昼食場所にするのによさそうです。


そこから少し進んだ辺りから、延暦寺の境内に
本格的に突入です。広いです。とても。
釈迦堂目指して進みます。根本中堂ではありません。
釈迦堂を目指していけば、あまり迷うことはないと
思います。
その釈迦堂です。デカイ!

途中、ミカエリソウのつぼみがたくさんある
群落がいくつかありました。

葉の間に立ち上がっている棒状のものがつぼみです。
ピンク色の試験管ブラシ状の花がもうすぐ咲きます。


釈迦堂の右側を通り、さらに進んでいくと
ドライブウェイの下をトンネルで通ったり
しながら、ようやく山道になっていきます。


山道に入って少し進むとモミが多いエリアです。
でもこの看板、怪しいです。

まず、モミは材としては良材ではなく、
棺桶ぐらいにしかならないので、
伐られずに残されているとよく聞きます。


また、モミは柔らかな腐植質の土では発芽・成長できないため、
尾根筋によく生えています。
比叡山の大部分がモミの森に覆われていた」との記述も
怪しいですねぇ。


この写真で見てもらいたかったのは、モミの説明ではなく、
その下の二輪車通行禁止の文字です。
危ないので、二輪車は車も通れる林道だけ通行してほしいです。


さて、そのままどんどん進みますが、このコースの難点が2つあります。
・階段が多い。
 延暦寺境内であるため、参拝者のためなのでしょう。
 階段は段差が自分のペースに合えばいいのですが、
 合わなければ歩きにくいです。身長が140cmの人もいれば、
 180cmの人もいます。どのぐらいの身長に合わせてるんでしょうね。
 そして、階段は間伐材を使うのがいいと思うのですが、中には
 コンクリートや鉄パイプの階段もありました。耐久性は高いのでしょうが
 なんとなく味気ないです。


・車やバイクのエンジン音が聞こえる。
 横高山の手前に横川中堂へ下りる道が
 あるのですが、その辺りまではドライブウェイと
 ほぼ平行してコースが続きます。
 せっかくのいい雰囲気がエンジン音でかき消されて
 しまうようで、よろしくないですね。


釈迦堂から約40分で横高山の手前にある玉体杉に
到着です。
それほど大きな杉ではありませんが、回峰行者が
ここで御所に向かって玉体加持(天皇のご安泰を祈ること)を
したそうです。今もしてるんでしょうか。


ここも景色がいいので昼食ポイントです。

京都市街地が一望でき、中央少し左には歩いてきた
比叡山も見えます。


玉体杉から少し下ると四辻の交差点です。
右に行けば横川中堂。
左に行けば八瀬の「登山口(京都バスのバス停の名前)」。
真っ直ぐ進んで急坂を登れば横高山です。
階段はこの四辻で終わりです。


玉体杉から15分ほどで横高山に着き、
いったん下ってさらに15分ほどで次のピーク
水井山に着きます。
どちらの山も山頂は木々に覆われていて展望はありませんが、
この辺りの雰囲気はいい感じでした。


ウスヒラタケかヒラタケが倒木にびっしり
生えています。

残念ながら採り頃は過ぎていましたが、
脚立を持参して採りたいぐらいうまそうな
キノコでした。


水井山からは人工林の中を進むことが多くなります。
これもこのコースの難点のひとつです。
やはり二次林でも天然林を歩くのが気持ちいいです。


そして、水井山から40分(玉体杉から70分)ほどで
仰木峠に到着します。
ここからさらに進んで小野山(670m)梶山(681)と
尾根道を縦走したかったのですが、出発時間が
遅かったので、仰木峠から下りることにしました。


ここから1時間弱で大原のバス停ですが、コースは
2つあって、ひとつは京都一周トレイル、もうひとつは
東海自然歩道です。ぼくは京都一周トレイルを選びました。
トレイルの標識の下に「丸木橋が流出し、渡渉が必要」
との貼紙があったので、確かめたかったのです。

前日は雨でしたが、たいして降らなかったので
たぶん大丈夫だろうと思っていました。


流出した丸木橋。たしかに流されています。

でも、右下を通ればまったく問題ありませんでした。
どなたかが大きな石を置いてくださったようです。
靴も濡れません。


橋から先は林道を歩いて下山です。
最後に鉄のゲートがありますが、
イノシシ対策のゲートで、人間は左側の
小さな扉から出入りできます。


バス停までの道路から見えた比叡山

帰り道の国際会館から見た比叡山

左端の2つの山が横高山、水井山。
2つの画像から、結構歩いたことが分かります。
これは自信になりますね。トレーニングには
いいコースだと思います。


ただ、ぼくのように自然にこだわる人には
八瀬の「登山口」から登って、梶山まで行くコースが
いいんではないでしょうか。
そうすれば階段もありませんし、ドライブウェイと
平行して歩くこともないです。
今度試してみよう。


最後に、この日の服装です。
半袖の吸汗・速乾機能のあるTシャツに
ナイロンパーカーを羽織っていきましたが、
登山口の手前でパーカーは脱ぎ、ほとんど
半袖のままでした。
半袖のTシャツと長袖シャツ、さらに羽織る
ものがあれば、この時期は大丈夫でしょう。
羽織るものは防風効果があり、できたら多少の雨でも
大丈夫なものがいいでしょう。カッパの上着でも
いいですね。


あ、子連れでも歩いてみたいです。