Kyoto Nature Hiking -京都の自然、ハイキング情報-

京都の自然やハイキング情報について、京都市在住の森林インストラクターが書くブログです。3児の父。親子で山も歩いています。年に何度か日本アルプスも。

木づかい運動

我が家の靴箱を作りました。
箱というより、ただの棚ですが・・・。

山口県産のヒノキを主に使っています。
yahooオークションで10本1,000円(送料別)で購入
しました。ホームセンターと比べてかなりお買得!
この後、ミルキーホワイトのペンキを家族みんなで塗り
完成しました。


木づかい運動」というのをご存知でしょうか。


地球温暖化防止のために、CO2をできるだけ
減らすための取り組みが行われていますが、
その排出量を取り決めたのが京都議定書
日本では1990年レベルより6%減らすことを約束
しており、そのうち3.9%を森林による
CO2吸収量で達成しようとしています。
その3.9%を達成するために、林野庁
「木づかい運動」を展開しています。


なぜ「木づかい運動」がCO2吸収量の達成に
貢献するか、知っている人がどれぐらい
いるのでしょう。


植物は光合成でCO2を吸収し、O2を排出
しています。
CO2−O2=C(炭素)
「森は、木材は、炭素の貯蔵庫」と言われます。
つまり、伐った木を木材として使い続けると、
炭素は固定されたままなのです。


石油やガスは、一度使い切ると、その再生に
何億年もかかってしまいますが、
木は、何十年かすれば、木材として使える木に
成長します。
つまり、木材は再生可能な資源なのです。
最近では、薪ストーブや、ペレット(チップを固めたもの)
ストーブなどが環境にやさしい冬の暖房器具として見直されつつ
あるのです。


我が家では、風呂の洗面器といすが
高知産のヒノキ製です。
結婚時、妻に「これだけはお願い!」
と言って、値段の張るヒノキ製に
してもらいました。
プラスチック製は安価ですが、
木のぬくもりとやわらかさには
かないません。使い心地最高です。
今も、これからも使い続けます。


同じ京都の材を使った木造の家が
建てられたらいいんですけど、今は
そんな余裕がないので、できることから
少しずつでも木を使っていこうと
考えています。


木を切るとCO2の吸収源がなくなるので、
木を切ること=悪であると考える人がいます。
でもそれは正解ではありません。


本の森林は、総面積の約7割(68%)。
そのうちスギやヒノキの人工林は約4割(41%)。
ということは、日本の総面積の約3割(28%)は人工林。
この人工林が、間伐手遅れで荒廃しています。


なぜ間伐が必要か。
人工林は、間伐することを前提で植えられています。
植えたスギやヒノキの中には、成長過程で
大きく成長できないものや、曲がったり、
木材として使いにくそうなものが出てきます。
それらを適度に間引いて、良い木材になりそうな木を
残していきます。それを間伐といいます。


でも、その間伐ができていない森が非常に多い。
間伐ができていないと、モヤシ状の木ばかりの
森になってしまい、せっかく植えたスギやヒノキも
もはや木材としては使えないような代物に
なってしまいます。

これは大文字山近辺の放置された人工林。
ちなみに、ここは民有林です。
こんなに混んでいると、林床まで光が届かず、
下草が生えません。風雪害などで簡単に木が
折れやすく、土壌が流出する可能性も高く
なります。


間伐は森にとっても、木材にとっても
絶対に必要なものなのです。


では、なぜ間伐ができないか。
木材は、貿易不均衡是正のため、
外国からの木材が非関税で輸入される
ことになってしまいました。


国内の人工林が、戦後の高度成長期に
どんどん伐られ、新たに植えられて、
ちょうど使える木がなかった時期というのも
ありますが、安価な外材が入ってくることで、
日本の林業は大打撃を受けました。


以前は間伐した木も売れたのですが、
安価な外材が入ってきたことで売れなくなって
しまったのです。
また、以前は家の建築や解体現場での足場には、
スギの間伐材が使われていたのですが、今は
どこも鉄パイプ製に代わっています。
使い道もなくなってしまったのです。


外材の価格に押され、国産材の価格も下がって
しまい、せっかく間伐をしても、その伐採や
搬出にかかるコストがペイしなくなった。
伐っても赤字になるなら、伐らないでおこう。
との考えから、間伐が必要な森が放置されて
いったのです。



最近では「伐り捨て間伐」が主流です。
伐られたまま林内に放置されている
スギやヒノキをご覧になったことは
ないでしょうか。
先述しましたように、伐った木を
搬出するとコストがかかるので、
伐ったまま放置しておくのです。
これでも伐らないよりは、はるかに
ましなんです。


1961年には82%だった木材自給率
2004年には18%。2006年には20%を少し
超えたようですが、日本の総面積の3割が
人工林であるにもかかわらず、この
自給率は誰が見ても低すぎですね。


うーん、簡単に説明するのは難しいですね・・・。


僕が言いたかったのは、こんな現状ですので、
少しでも国産材を選んで使うことを多くの人が
続けていけば、日本の森が少しずつでも豊かになって、
CO2の排出も防げるのです。
是非国産材をどんどん使いましょう!