焼岳
子二人と北アルプスの焼岳に
行ってきました。
登山口は上高地。
上高地へはマイカー規制で
バスやタクシーでないと入れません。
岐阜側の平湯温泉近くの駐車場で
車中泊し、始発の次のバスに乗り
上高地へ向かいました。
バスを降りたのは大正池。
ここから散策路を通り、
登山口へ向かいます。
寒っ!
長男によると途中で7℃の
表示があったとか。
そら寒いっ!
手袋忘れた!!
子二人には子ども用の軍手のみ。
後で分かりましたが、
先頭を歩く次男の動きが遅かったのは、
寒さのせいでした。
今回登る焼岳とその周辺の山々は、
焼岳火山群を構成していて、
この火山群中で現在も活動をしているのが焼岳です。
大正池は、1915年(大正4年)にその焼岳が
爆発した際に泥流が梓川をせき止めたために
できた池です。
池から見た焼岳。
ちょうど朝日が焼岳の上部だけを
照らしています。
なぜかピントが合っているのは池に映った
焼岳の上部・・・。
山腹が暗いのは、東にある霞沢岳の影です。
少し進んで、北側の穂高連峰。
かっこよすぎます。
いつか登ったります。
快晴です!
池に映った穂高もきれい。
日が昇り、焼岳の上部が
見えてきました。
行けるか〜? あんなとこまで・・・。
ちなみに白いのは雪ではありません。
寒いので少し急ぎ足で45分ほど歩いて
田代橋に到着。
水がとてもきれい。
この寒さの中、二人とも
「ここで泳ぎたい〜!」
と言うとりました。
少しは体が暖まってきたと
いうことでしょう。
登山口まで林道を少し歩いて、
ようやく霞沢岳から日が見え始めました。
川から靄が立ち、幻想的な光景の中
カモの仲間が僕たちにに驚いて飛び交い、
寒かった夜から開放された鳥達が
この大きな木の周りで
はしゃいでいました。
コガラの群れでした。
何かをくわえています。
登山道に入ると、
ゆるやかに登る落葉広葉樹林です。
林床はササ原です。
見上げるとこんな感じ。
トチノキ、サワグルミなどの
大木が樹冠を覆っています。
ほんまにきれいな森でした。
写真には写っていなかったんですが、
小さなネズミも見かけました。
ヒメネズミか、アカネズミの幼体か。
小さくてかわいいネズミでした。
長男は「捕まえたい」と言い、
捕まえられそうでしたが、
何か病気を持っていてはと心配で
やめさせました。
時々トチノキの実が落ちてきます。
当たったら痛いやろなぁ。
栃餅や栃の実せんべいの原料となる
栃の実です。
「お母さんへのおみやげ」
やと、いくつか拾っていましたが、
食べれるようになるまで
何日もしっかりあく抜きをしないといけないため、
かなりの手間ひまがかかります。
帰宅後は予想通り放置されて
いました・・・。
山の生き物にとっては大切な
食料なので、無駄に持ち帰るのは
よくありません。
せっかくですので、あく抜きに
挑戦しますか!
下界ではまだ残暑を感じますが、
山の上は秋の気配。
色んなところで赤い実をいくつも見ました。
ゴゼンタチバナ(ミズキ科)。
草ですがミズキ科です。
花も生で見てみたい(図鑑では見たことあります)。
オオカメノキ(スイカズラ科)。
紅葉もボチボチ始まっています。
コケモモ(ツツジ科)
完熟すると生でも食べられるそうな。
食べてみるべきでした。
果実酒にもできるようですね。
でもこれをいっぱい摘んでいくのは
気が引けます。
タケシマラン(ユリ科)
これは1箇所だけでした。
キノコもたくさんありました。
こちらはホコリタケ。
地面に生えているのをよく見かけますが、
これは木に生えていました。
しかも生きている木。なんでやろ・・・。
緩やかに1時間半ほど登ると
視界が開け、上高地を挟んで
対岸の霞沢岳が大きく見え始めます。
この辺りから徐々に傾斜がきつくなり、
こんな橋やハシゴがいくつか
かけてあります。
いつくかあったハシゴのうち、
これが一番怖かった。
しっかりしたハシゴなので、
大したことありませんが、
自称高所恐怖症の長男は
ビビりながら登っていました。
ハシゴの辺りから見下ろす
大正池。
結構登ってきたなぁ。
ハシゴを登ってから少し登ると
広いササ原をつづら折りの道で
登っていきます。
ササ原でポツポツ咲いている
ヤマハハコ(キク科)。
京都周辺には咲いていないので、
いつ見てもきれいに見えます。
これは9合目付近から見下ろした
つづら折りの道。中央のグネグネです。
この画像では傾斜が分かりづらいですが、
これだけグネグネしているということは、
結構な急傾斜です。
緑色の屋根が見える焼岳小屋付近まで
続きました。
登山口から焼岳小屋まで
約2時間半。
本に書いてあったコースタイム通りです。
子連れにしてはまあまあかな。
焼岳小屋から少し登ると展望台。
北西には笠ヶ岳。
中央の尖っている笠のようなのがそうです。
西には白山。
よく行く滋賀県の武奈ヶ岳から
天気が良ければ見える山です。
笠ヶ岳、白山とも登ってみたい山です。
展望台から少し下って
中尾峠から見上げると、
山頂まではまだ結構ありそうです。
中央の溶岩ドームの上が
目指す北峰の山頂(2,393m)です。
南峰(2,455m)は崩落などの危険があり、
立入禁止です。
中尾峠からの登りは
滑りやすい砂が続き、
落石しないように注意する必要もあり、
少し疲れました。
中尾峠の手前から所々に
噴気孔があります。
卵を持ってきて、温泉卵を作ればよかったなぁ!
と冗談を言うてましたが、
冗談抜きでやけどをする熱さなので、
気をつけないといけません。
硫黄臭も結構キツイです。
北峰の溶岩ドームは
左に巻いて、中の湯ルートと
出会う鞍部から
溶岩ドームをよじ登ります。
鞍部付近からの眺め。
頂上はもうそこや!
登山口から約4時間。
無事に登頂できました。
頂上からの北側の眺め(動画です)。この景色を眺めながらの昼食は
気持ちよかったです。
尖っている槍ヶ岳も見えます。
南東には南アルプス。
先日登った甲斐駒ヶ岳、
北岳、間ノ岳などが見えます。
よく見ると、
甲斐駒ヶ岳〜鋸岳の稜線の向こうに
富士山の頭だけが見えます。
子ども達は自分で登った山が見えて
うれしそうでした。
南には乗鞍岳。
先日ばーちゃん(義母)が登った山です。
北峰溶岩ドーム中腹にある
噴気孔の動画です。風の音でよく聞こえませんが、
シューーーーーーッと音がしています。
翌日は学校・仕事なので
ゆっくりせずに下山します。
来た道を戻るか、
新中の湯ルートを下りるか
迷ったんですが、
違う道を下りたかったのと、
どんな道か見てみたかったので、
新中の湯ルートを下山していきました。
この日の失敗は、
地図を忘れたこと。
下山ルートは記憶が頼りでした。
下山後、道路に出てからは
駐車場まで僕だけが走ろうと
思っていましたが、後から地図で
確認するとかなり距離があったので、
子二人を下山した登山口に残して
長時間待たせておくのは無理そうでした。
結局タクシーを呼んだんですが、
少々お金はかかりましたが、正解でした。
『日本百名山 山あるきガイド 下 (大人の遠足BOOK)』には、
来た道を戻ることを推奨されているんですが、
その方が良かったように思います。
さて、下山を始めて
火口湖と火口。
火口の底がどんななってるか
見てみたかったんですが、
立入禁止のロープが張られていますし、
子二人からの反対もあったので
見に行くのはやめときました。
新中の湯ルートを下山します。
樹林帯に入るまで、
シラタマノキ(ツツジ科)がたくさん
実をつけていました。
中央の少しピンクがかった白いのが
実です。
葉は紅葉しています。
大きな石や岩がゴロゴロしている
ところを下りていきます。
登る時はなかなか近づかない
頂上ですが、下山時は
あっという間に離れていきます。
中央が北峰山頂です。
ナナカマド(バラ科)。
きれいに紅葉してる木が何本もありました。
東側を見れば、きれいなササ原が
広がっています。
京都周辺ではもう見られません。
崩壊で通行止めとなっている
旧中の湯ルートとの出合い広場から
山頂を見上げます。
既に北峰山頂は見えません。
左側の盛り上がりが南峰です。
ここからは樹林帯。
シラビソ、オオシラビソなどの針葉樹を中心とした
森でした。
オオシラビソ(マツ科)。
葉が短く密に枝につくので、小枝が見えにくい。
シラビソ(マツ科)。
オオシラビソの葉よりやや長く、
軸の小枝が見えます。
きれいに紅葉している木が見えます。
紅葉しているのはこの大きな木ではなく、
木に絡みついているツタウルシ(ウルシ科)です。
別の木に絡みつくツタウルシ。
紅葉はいち早く始まり、きれいなんですが、
ウルシの仲間では最強で、
肌の弱い人は近づくだけで
かぶれてしまうようです。
つる性(木に絡みつく)で、
3枚で1セットの葉(3出複葉)が特徴です。
落ち葉ももちろんかぶれますので、
ご注意下さい。
場所によっては急傾斜の下山道を
どんどん下り、いつの間にか
針葉樹から落葉広葉樹林に変わっていました。
ブナを中心とした森です。
さらに下って下山開始から
3時間弱で新中の湯ルートの登山口まで
下山しました。
この登山口から道路を挟んだ辺りに
さらに下る道が見えます。
周りには黄色いペンキで中の湯温泉と
書かれているように見えます。
登山口でヒッチでもしようかと
考えていたんですが、甘かったようで、
しょうがないのでこの道を下って
中の湯温泉まで下りました。
中の湯温泉の入り口で
タクシーを呼び、
無事駐車場まで戻りました。
あぁ、疲れた!
子二人は温泉には興味がないようで、
それより車の中で眠りたいようなので、
せっかくの温泉には入らず帰路につきました。
子二人にとっては8月4、5日の
富士山以来の山となり、
久しぶりで筋肉痛になったようです。
間に近場の山を挟むべきでしたが、
アルプスの山に行くにはあまり日が
残されていないので、
この日に強行しました。
今年のアルプスはもうおしまい。
来年は近場でしっかりトレーニングして、
山小屋に泊まる余裕を持ったスケジュールで
またアルプスに来よう!